タイ情報チェンマイエッセイ

【チェンマイで発見】日本語で書けばかっこいいというデザインセンスについての考察

どうも、かぼちゃ太郎です。

チェンマイで暮らしていると、街のあちこちで日本語を見かけます。お店の看板、商品のパッケージ、メニュー、Tシャツ……。

しかも、日本食や日本の製品、日本の文化など、日本とまったく関係がないお店や商品でも、しばしば日本語の表記を見かけるんです。

ただ、よく見ると「ん?」となる日本語もけっこうあるんです(笑)

今回は、わたしがチェンマイで見つけた日本語のデザインを集めてみました。主にショッピングモールで見つけたものです。どうやらタイでは、「日本語で書けばかっこいい」というデザインセンスがあるようです。

目次
  1. 惜しい!1文字ちがいの日本語
  2. 漢字もカタカナもむずかしい
  3. 日本語だと、なぜか「です」「!」が強い
  4. かっこいい!ちゃんとした日本語のデザイン
  5. 考察:なぜ日本語で書くとかっこいいのか
  6. まとめ

惜しい!1文字ちがいの日本語

まずは、惜しい日本語から。

「歯ブラシ木ルダー(スリム)」と書かれた歯ブラシホルダーのパッケージ
「歯ブラシ木ルダー(スリム)」と書かれた歯ブラシホルダーのパッケージ

「歯ブラシ木ルダー」。

カタカナの「ホ」が、漢字の「木」になっています。たしかに形はそっくり……!下のほうには「歯プランが6本コンパクトに収納でます」。「ブラシ」が「プラン」に、「できます」が「でます」になっています。「あら便利!」の手書き風の文字は、なかなか味があります。

「ペットボトルのス」「ポンジブラシ」と、「スポンジ」の途中で改行されたパッケージ
「ペットボトルのス」「ポンジブラシ」と、「スポンジ」の途中で改行されたパッケージ

同じお店の「ペットボトルのスポンジブラシ」。注目してほしいのは改行の位置です。

ペットボトルのス

ポンジブラシ

「スポンジ」の「ス」だけが1行目に残っています(笑)日本のデザインなら、まず「ペットボトルの」で改行するはず。日本のデザインでは絶対にないような改行位置です。日本語の文字は読めても、どこで言葉が区切れるかまではわからなかったのかもしれません。

「テーブルと椅子とカバー」と書かれた椅子の脚カバーのパッケージ
「テーブルと椅子とカバー」と書かれた椅子の脚カバーのパッケージ

こちらは椅子の脚につけるカバー。「テーブルと椅子とカバー」。たぶん「テーブルと椅子のカバー」と言いたかったのだと思います。説明文の「針の繊細で堅固で美しい、糸を脱ぎにくい!」も、言いたいことはなんとなく伝わります。金子みすずの『わたしと小鳥と鈴と』がよぎりました。

「しょゆ ぶた どん」と書かれた丼のメニュー
「しょゆ ぶた どん」と書かれた丼のメニュー

丼のメニューの「しょゆ ぶた どん」。「う」がどこかへ行ってしまいました。英語では「Shoyu Pork Don」なので、ローマ字から日本語にしたのかもしれません。

「ガシャポン」の「シ」がひらがなの「し」になっている看板
「ガシャポン」の「シ」がひらがなの「し」になっている看板

ショッピングモールのガチャガチャコーナー「GASHAPON ZONE」。よーく見ると、「ガしャポン」の「し」だけひらがなです。

漢字もカタカナもむずかしい

居酒屋のメニュー。「相撲ジョッキ」のはずが漢字とカタカナがくずれている
居酒屋のメニュー。「相撲ジョッキ」のはずが漢字とカタカナがくずれている

日本の居酒屋風のお店のメニュー。タイ語では「แก้วซูโม่(相撲グラス)」と書いてあるので、たぶん「相撲ジョッキ」と言いたいのだと思います。でも、「撲」の字はちがう字になっています。

ジョッキというカタカナ語も難しいのだろう。「ジ」が「ヅ」になっていて、「ッ」も大きいまま(「ョ」も大きくなっていて、「ヅヨツキ」に)。ジョッキという日本語の打ち方、確かにわたしもタイピングを勉強し始めた時はわからなかったです。これはAIを利用せずになんとか打ち込んだものな気がする・・・。

こいのぼりと招き猫と桜が描かれた「キッズゾーンへようこそ。」の看板
こいのぼりと招き猫と桜が描かれた「キッズゾーンへようこそ。」の看板

キッズゾーンの入り口。こいのぼり、招き猫、桜と、日本っぽいものが大集合です。「キッズゾーンへようこそ。」は完ぺきな日本語!……と思いきや、招き猫が持っている小判には「良貞 勇龙」。「龙」は中国の簡体字の「竜(龍)」です。

日本語だと、なぜか「です」「!」が強い

カップのふたに「食え!」と書かれたドリンク
カップのふたに「食え!」と書かれたドリンク

ドリンクのお店「Monchá(モンチャ)」のカップ。ふたには大きく「食え!」。

飲み物なのに「食え」。しかも命令形です(笑)タピオカなどのトッピングを食べろ、ということでしょうか。

おもちゃの箱に「超合金変形車です」と書かれている
おもちゃの箱に「超合金変形車です」と書かれている

おもちゃの箱には「超合金変形車です」。英語は「SUPER ALLOY DEFORMATION CAR」なのに、日本語だけていねいに「です」がついています。おそらく、日本発のIPであるトランスフォーマーを意識しているのだろう。

「アメリカーノは40バーツです。」と日本語で書かれたコーヒー屋さんの看板
「アメリカーノは40バーツです。」と日本語で書かれたコーヒー屋さんの看板

街のコーヒー屋さんの看板。タイ語と英語の看板に、小さく「アメリカーノは40バーツです。」。

これは正しい日本語です。ていねいに句点(。)までついています。でも、看板の下にも大きく「Americano 40.-」と書いてあるので、日本語の説明はなくてもわかります(笑)それでもあえて日本語を入れているのが、おもしろいところです。

かっこいい!ちゃんとした日本語のデザイン

もちろん、正しい日本語で、しかもかっこいいデザインもたくさんあります。

PRIME BURGER の「スマッシュバーガー」の縦の看板と「タイ王国」と書かれた丸い看板
PRIME BURGER の「スマッシュバーガー」の縦の看板と「タイ王国」と書かれた丸い看板

今月、ニマンヘミン通りの Think Park にオープンしたハンバーガー屋さん「PRIME BURGER」。縦の看板には「スマッシュバーガー」。丸い看板には「PRIME BURGER」の下に「タイ王国」。日本のブランドではMade in Japanと書かれることがありますが、タイブランドを推したいのでしょうか。シンプルでかっこいい?

YUEDPAO の「Tシャツ」と書かれたたたまれたTシャツ
YUEDPAO の「Tシャツ」と書かれたたたまれたTシャツ

タイのブランド「YUEDPAO」のTシャツ。「YUEDPAO | Tシャツ」。このブランドは割とタイ人の中では人気らしく、外国人の友人にあげる人もいるらしい。わたしの日本にいる日本人の友人がタイ人の友人からこのブランドの服をもらったらしい。いかにも高い服という感じでもらったらしく、「なかなか着れないんだよね〜」と言っていた。

本当のことを伝えるか迷ったが、十数年来の友人なので正直に伝えた。

「UNIQLOよりも安いから安心して」

わたしの周りのタイ人にはあまり事実を盛って伝えるような人はいない。しかし、わたしの他の日本人の友人も「高級タイパンツ」としてタイパンツをもらったらしい。そんなの聞いたことない。

Swensen's のメニュー。「ストロベリークレープ」と縦に書かれている
Swensen's のメニュー。「ストロベリークレープ」と縦に書かれている

アイスクリーム屋さん「Swensen's」のメニュー。タイ語・英語・中国語にならんで、縦書きで「ストロベリークレープ」。これも正しい日本語です。

考察:なぜ日本語で書くとかっこいいのか

ここからは、わたしなりの考察です。

日本はいまも「憧れの国」

わたしは普段、歩ける範囲で生活しているので、遠出するときはタクシーかバイクタクシーに乗ります。

10人に1人くらいの割合で「韓国人?」と聞かれるのですが(韓国に行っても、ふつうに韓国語で話しかけられるくらいなので、タイでもそりゃそうか、という感じです)、日本人だと伝えると、ほぼ100%、「いつか日本に行ってみたい」「日本に行ってきたよ」という話が始まります。

それほど、タイの人にとって日本は、いまでも憧れの国だったり、親近感のある国だったりするのだと思います。

日本語は「案内」ではなく「デザイン」

それが関係あるのかはわかりませんが、個人のお店のチラシには、必ずと言っていいほど、何かしら日本語が書いてあります。

その日本語は、メニュー名などを案内するためのものではなく、デザインの一部として使われていることが多いです。

日本語を書くことがステータス?

日本人から見ると、日本と関係のない商品やお店に日本語が書いてあると、正直ちょっと胡散臭く見えてしまいます(笑)

でも、タイの人にとっては、「日本語を書く」こと自体がひとつのステータスになっているようにも見受けられます。

日本人が英語のTシャツや看板をおしゃれだと感じるのと同じように、タイの人にとっては、日本語が「おしゃれな外国語」なのかもしれません。意味が正しいかどうかよりも、ひらがな・カタカナ・漢字の形そのものがデザインとして使われているのだと思います。

文化盗用?でもピンとこないのかも

「日本の文字をつけておけばいい」というのは、文化盗用だよなあ……と思うこともあります。

※文化盗用(カルチュラル・アプロプリエーション)とは……ある文化の言葉や服装、模様などを、その文化への理解や敬意がないまま、ファッションや商売のために取り入れて使うこと。とくに、その文化の人たちが傷ついたり、もとの意味がゆがめられたりするとして批判されるときに使われる言葉です。

ただ、タイでは、ショッピングモールなどでいつもどこかの国のイベントが開かれています。外国の文化を取り入れて楽しむのがあたりまえなので、「それは文化盗用だ」と言われても、ピンとこない人が多いのだろうなという印象です。

実はわたしはタイに来てから、日本の大学で修士号を取ったので、どこかのタイミングでタイのデザインと文化盗用をテーマに本を書きたいなと思っています。

日本人の目から見ると、ちょっとおかしな日本語もありますが、それもふくめて楽しい?のがタイの日本語デザイン。チェンマイに来たら、ぜひ街の日本語を探してみてください。

まとめ

  • チェンマイでは、日本と関係のないお店や商品でも、看板・パッケージ・メニューなどで日本語をよく見かける
  • 「歯ブラシ木ルダー」「しょゆぶたどん」など、おしい日本語もいっぱい
  • 「食え!」「超合金変形車です」など、日本語だけ口調が強め・ていねいすぎなものも
  • 「スマッシュバーガー」「Tシャツ」など、正しくてかっこいい日本語もたくさん
  • 日本人には胡散臭く見えても、タイでは「日本語を書く」ことがステータスなのかも