ネタバレなし【今さらだけど見たい映画レビュー】 『怪物はささやく』

本・映画

 



 どうも!かぼちゃ太郎です。
 感染拡大が止まらず本業(旅行会社)での自宅待機が多くなってしまい、暇をもてあましております。。。感染拡大を止めるためにみなさんで協力していきましょうね!

 このような状態がかれこれ1年弱続き、私は、旅行など外に出るのが大好きでしたが、自宅待機や自粛を行っていたので、この1年で、ずーっと家にいて黙々と映画を見たり、様々なジャンルの本を読んでとても充実した日々を送っていたので、少しインドア派になりました!(もちろん安全になって早くいろんなところに旅行したいですけどね!)

 今回は2017年に公開された『怪物はささやく』のレビューをしていきたいと思います!ネタバレはしません!基本的に個人の感想をスパッと書きたいと思います!

視聴可能→Netflix、Amazon Prime、U-NEXT等

カンタンなあらすじ

13歳の少年、コナーは学校ではいじめられっ子。彼は裏庭の窓から教会の墓地と大きなイチイの木が見える家に難病の母と一緒に暮らしていた。コナーは毎晩悪夢にうなされていたが、ある日、深夜0時7分になるとイチイの木が怪物となり、コナーの家にやってきて「今から、私はお前に3つの『真実の物語』を話す。4つ目の物語はお前が話せ。」という。その4つ目の物語は、コナーの隠す真実の話をしろという。コナーが怪物の不思議な話を毎晩無理やり聞かされる中で、何かの気づきを得ていく。。。

  

おすすめポイント① 有名な英文学作品を映画化!

 この映画の原作はパトリック・ネス作『怪物はささやく(原題:A Monster Calls)』の、イギリスの図書館協会から贈られる児童文学賞のカーネギー賞、同じくイギリスの図書館協会から1年の間で優れた絵本に贈られるケイト・グリーナウェイ賞の二つを受賞したものすごい作品です!!!

 カーネギー賞の他の作品を見てみると、日本でも大変人気な『ナルニア国物語』や、古い作品であるとキュリー夫人の人生を描いた『キュリー夫人』があります。
 ケイト・グリーナウェイ賞では『ガリバー旅行記』や『うみべのまちで』があります。

 この映画の良いところは、原作の怪しい感じをそのまま映画でも表現しており、世界観にどんどん引き込まれます。ただそのあまり、原作ではあるものの、映画ではない部分が。。。それはこの映画のテーマをよりくっきりと伝えるためにあえて映画には出さなかったのかなあと思います。この点に関しては賛否両論あると思いますが、わたし個人としては短い時間に収める「映画」ですので、テーマをくっきりわかりやすくする方がいいかなあと思います!
 小説との比較ができるとても味わい深い作品ですので、興味のある方はこちらもチェック!!!!



おすすめポイント② 児童文学?と言えるほどの内容の深さ

 3つの物語が深いです。そして、家族の関係の複雑さにとてももどかしく感じる作品です。

 イチイの木が話す3つの物語は「黒の王妃と若き王子」「薬師の秘薬」「透明人間の男」です。この3つの物語はどれも不思議な話で現代ではありえない話でしょと思うも、一方で、現代の私たちに何が本当に大切なのか、何が真実なのかということを考えさせてくれます。
 

 そしてここで描かれる家族の関係性は、3つの物語とは全く異なり、とても現実的です。現在増えてきつつある、ひとり親の苦難というのがとても表れています。父親も登場するものの、離れて住むことで生まれてしまう確執や寂しさをコナーは感じています。難病の母を介護するためにコナーのおばあちゃんが一緒に住み始めますが、コナーとはうまくいかず、お互いに苦しさを感じています。
 この作品では、母と子の愛情と共に大事なテーマをこのおばあちゃんとコナーの関係性が提示してくれます。そのテーマとは、「分かり合えなさをつなぐ」
 このおばあちゃんとコナーはお互いに分かり合えないことから、苦しさを感じ、どうしたらいいのかわからなくなっています。そんな彼らがどうやって「分かり合えなさをつなぐ」のか。これが「怪物はささやく」の一番のテーマだと思います。

 この映画を見ながら私はずっとこのテーマを思い浮かべていたと同時に、ある本の言葉を思い浮かべていました。
 それは、

「コミュニケーションとは、わかりあうためのものではなく、わかりあえなさを互いに受け止め、それでもなお共に在ることを受け容れるための技法である。『完全な翻訳』などというものが不可能であるのと同じように、わたしたちは互いを完全にわかりあうことなどできない。それでもわかりあえなさをつなぐことによって、その結び目から新たな意味と価値が湧き出てくる。」

ドミニク・チェン『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』新潮社、2020年、197-198ページ。

という言葉。

 2020年1月に出版されたドミニク・チェンさんの『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』に出てくる言葉です。
 『怪物はささやく』のおばあちゃんとコナーの関係性は、まさにこの言葉のとおりなのではないかとずっと頭のなかでぐるぐるしていました。そしてもう一度この本を読みなおしてみると、映画の情景が浮かんできます。

 ぜひ、『怪物はささやく』を見る前でも、見た後でもいいので読んで心の奥底でじんわりと味わってみてください。


まとめ

 この映画はダークファンタジーと言われる部類ですが、「ダーク」とは言っても怖くありません。暗い感じで物語が進んでいくということです。しかし、『怪物はささやく』という作品はこの「暗さ」でしか伝えられなかったメッセージがたくさんありますのでそれを味わってみてください。
 

 原作も、私の紹介したドミニク・チェンさんの『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』も現代の私たちが学ぶべきことをたくさん提示してくれる著作ですのでそちらもぜひ読んでみてください。

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(かぼちゃ太郎の小話)イチイの木ってどんな木???

 イチイの木が怪物になって丘から降りてきますが、映画見ている間、イチイの木って何?とずっと思っていました(笑)

出典:Wikipedia

 調べてみるとイチイの木は、9月~10月ごろに真っ赤な果実をつけ、寒さにとても強い植物です。北海道では、庭木や生垣によく使われるみたいですね。漢字では「一位」と書くそうで、花言葉が「高尚」だそう。めっちゃ縁起ええ植物やん!と思っていると、

この『怪物はささやく』の舞台になっているイギリスでは、「悲哀」「哀愁」という意味があるそう。イギリスでは、墓地に植えられている木と言えば、イチイの木なんだそう。たしかに映画でも教会の墓地に植わっていましたね。


 花言葉に全然違う意味があるというのは初めて知ったかぼちゃ太郎でした。



他にも映画記事を作っているので、興味のある方はこちらへ↓

【おうち時間に】ステイホームで見るべき映画 おすすめ4選!!!
【おうち時間映画!】おうち時間に家族で見れる映画特集!そして会いたいけど会えない、大切な誰かへ思い馳せる時間にしてはいかがでしょうか

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