【わが家のアップデート日記】はじめます。

エッセイ

こんにちは、かぼちゃ太郎です。

今回は新年度を迎えるにあたって、新たな取り組みを始めました。

これまで「かぼちゃ太郎Life」では、日々のあたたかな交流を通しての気づきを綴る『一日の栞』というエッセイを連載しておりましたが、今回新たに『わが家のアップデート日記』というテーマで書き始めます。

普段は旅行の話がメインのブログですが、長らく感じ続けてきたことを言葉にして発信したいと思い、書き始めるにいたりました。以下読んでくださればと思います。

昨今、古い価値観のもとでこれまで人生を歩んできた主に年配の方の発言が人を傷つけ、世間が大きく反応し、「価値観のアップデート」が求められる、語られることが多くなっています。

主に新型コロナウイルスの感染拡大により延期された2021年開催予定の東京オリンピックの準備のなかで日本社会に深く根付く女性蔑視やルッキズム(容姿による差別)が関係者の中から明らかになり、国内外からは批判の声が多く上がりました。ある海外メディアは、この日本の現状をみて「日本に根ざした男尊女卑の象徴」という見出しを付け、痛烈に批判していました。その中で、在日大使館がTwitter上で声を上げ、多くの国・機関がそれに賛同し、大きな話題となりました。

それだけでなくSNS上では、外国人差別やLGBTQへの差別(最近では司法の判決で、同性婚は違法であるという見方が憲法に反しているという判例がいくつか出てきましたが、いまだに法的に同性婚は認められていません)、障がい者に対する差別など、あげるときりがないぐらいのマイノリティへの差別が浮き彫りになってきました。

さらに「意識的な差別」ではなくとも、朝のニュース番組のオススメの映像作品を紹介する1コーナーにて、アイヌを取り上げたドキュメンタリーの紹介の際に、紹介者の芸人さんがこれまで繰り返しアイヌの人々を傷つけてきた言葉をその芸人さんの持ちネタであるダジャレとして使い、その後SNSで炎上しました。その後、芸人さん・そのテレビ局の会長が謝罪するなど、「無知からくる差別」「無意識的な差別(マイクロアグレッション)」もあらわになってきました。

このように社会では若い人も、人生経験が長い人もどんどん価値観をアップデートしようという動きが出てきています。その試みはスケールは小さいながらもわたしのうちにもやってくるのかと思いきや。わたしの親、特に母親は全くその価値観をアップデートできていない、というよりもしようとしません。

例えば、アジアやアフリカの文化を紹介する番組やニュースを見ていると、「肌の色の浅黒い人たちの国は遅れている。」「黒い人たちは汚い。頭が悪い。」という言葉を発します。このような考え方はおそらく母親の母親、つまり私の祖母譲りの考え方で、私の大好きな祖母も、私が留学生の多い大学・学部に入ると知ったときには「黒い子(黒人や東南アジア系)を彼女としてつれてこんといてな」と言っており、衝撃を受けたことがあります。尊敬していた祖母だっただけに、ショックな言葉で、その言葉は今も頭の中でぐるぐると渦巻いています。

最近では、ビルマ(通称ミャンマーと言いますが、これは軍事政権がつけた国名なのでわたしはビルマと呼ぶことにしています)の軍事政権によるクーデターに対し、大勢の人が民主主義を取り戻し、自分たちの自由を取り戻すために平和的なデモを行っています。しかし、残虐な軍事政権の攻撃により、罪なき大勢の人がけがをし、殺されるようなあり得ないことが現在進行形で起こっています。そういったニュースを見ながら、私の母親はその平和的な民主主義回復のためのデモに対して「頭の悪い国だからこうなる」と全くこの起こっていることについて知ろうともせず、人が死んでいるのにも関わらずそう一言吐くだけです。

ただ、母親は女性なので、この度の女性蔑視にまつわる報道については怒りの声を上げ、男性優位な社会はおかしいと話していました。母親の過去について聞いてみると私の祖父にあたる母親の父は昔ながらの頑固な人で、父親の言うことは絶対で、私の祖母がたまに友人と遊びに行くと「家のことやりなさい」といい激怒していたと言っていました。(私からすると小さいころにたくさん遊びに連れていってくれた大好きなおじいちゃんです)

このように、すべての人が価値観をアップデートしたくないというわけではなく、本当に何が起こっているのか、その文脈を知らない、そして、そういった環境でこれまで育ち、過ごしてきたからこそなかなかその考え方から抜け出せずにいるのです。その人が悪い、というわけでは必ずしもありません。時代やこれまでの環境が大きく影響しているのです。母も祖父も祖母も私からするとみんな大好きな人であり、尊敬している人です。

もちろん、だれにもそういった差別的な考え方というのは(無意識的にも)心の奥底にあって、私も例外ではないでしょう、否定しません。だからこそ、価値観をアップデートし、だれかが知らないうちに傷ついていないか常に相手を思いやり、見たことだけでなくその裏側・文脈を知ることが大事だと思うのです。

今回の一連のオリンピックに関連する事象は、価値観をただ単にアップデートできておらず、あまり人の立場に立って考えてみるということの経験が薄かったためにみなさんご存じのように、世界中から批判され、職を辞すことになってしまったのです。彼らの残した功績は批判されるべき対象ではありません。(もちろん、差別的・侮辱的なものを除いて、ですが。)

私はこれまでの学生生活を通じて難民支援に携わったり、インドネシアに住んだり、世界中を飛び回り様々な価値観に触れてきました。また学業の中でマイクロアグレッションを含む差別をテーマに学んできました。学んでいく中で、知らず知らずのうちに友人や世界中で出会った人に嫌な思いをさせたり、差別していたりしたのだと気づくことが多くありました。

この連載では、私かぼちゃ太郎の内面でのアップデートや明らかに人種差別をしてしまっている母親のアップデート、そのほか私の身の回りで起きた「アップデート」に関することを綴っていきたいと思います。

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