【どんなビジネス本よりも役に立つ】野崎まど「TITAN タイタン」

ビジネス

 こんにちは!かぼちゃ太郎です。

 今回は野崎まどさんの「TITAN タイタン」について私の感想を述べていきたいと思います!
 私は普段からよく本を読んでいるのですが、今回読んだこの本はこれまで読んだことのないジャンルのもので、メッセージ性が高いものだったので、ぜひ皆さんにこの本を読んでもらいたいと思い、重い筆を執りました(笑)(更新回数の少ないブログですみません。。。これでも常にブログで何を書こうかなぁと考えているんですよ??笑)

 それではお付き合いよろしくお願いします!!!


タイタンここがすごい!①こんな未来が近いのか?「今」が「過去」に

 この小説の舞台は、今からおよそ200年後の世界。タイタンというAIが人間のすべての仕事を肩代わりしている時代となり、ほとんどの人々が仕事から解放され自由な生活を送っている。そして一部の人だけが「就業者」として国の機関で働いている。

 人々は料理もタイタンに頼めばやってくれ、ニュースもタイタンが読み上げる。すべてタイタンにやってもらっており、自由な人間たち。

 

 こんな世界、みなさんはどう思いますか?

 私はこの世界に入り込んだとき(小説を読み始めたとき)、そんな世界最高じゃないかと思いました。私は仕事で早朝にバス・電車に乗って片道1時間半かけて会社に向かい、仕事をして、たまにお客さんに怒られ、同じ路線のバス・電車でまた1時間半かけて帰るという生活の繰り返し。

 みなさんも通勤の仕方や時間は違えども、このような日々仕事のために同じことを繰り返すことに嫌気がさしている方も多いのではないでしょうか。

 200年後の未来の自分が仕事をしなくとも「自由」に暮らしていける生活を想像してみてください。楽しい毎日が待っているでしょうか。それとも、仕事したいなぁと思うでしょうか

 私は、自由を得ることができれば、自分のペースでこれがしたい!という仕事を自由にやるのかなと思います。

ここがすごい!ポイント
 今私たちが住んでいる世界は、この物語では「過去」に。今私たちがこのような状況の中で、自分や社会の置かれた仕事の在り方を問い直してみるよい機会になりそう。

 

タイタンここがすごい!② ストーリーの壮大さ

 この作品のすごいところは、やはり設定ではないでしょうか。そして、現在発達しつつあるAIとデジタルが成長していくと国や地域の違い等はあるものの、世界政府のようなより大きなまとまりで人々の暮らしがつながり、グローバリゼーションの世界へ進んでいくのではないかという物語全体を通して仮説を立てている点がとても興味深く思ったポイントです。

そしてこの物語の1番の肝は、人の「仕事観」についての物語としてストーリーが進行していきますが、話が進むにつれてAIの「仕事観」にまで突っ込むところです。

「趣味」で心理学を学んでいる主人公があることを発端にのAIタイタンの不調を改善するという「仕事」につきます。そこでタイタンの抱える悩みを聞き出し、タイタンの生産性を向上させ「人間の自由のために働けるようにする」というミッションを世界政府の役人から伝えられます。

 これは将来このような状況になるよということではなく、タイタンを今の世界で働く人々に置き換えて考えてみるとしっくり今の状況を考えられるのではないか、という作者の提示なのかなと思います。
 だれかの自由のために、タイタンのような働いてくれている人がいるよということです。この物語の中では、タイタンが人間が過去に行っていた仕事のほとんどを行うことが可能になり、人間は仕事をしているタイタンには全く目を向けていません。なぜなら「タイタンが人間のために働く」ということが当たり前になっているからです。
 私はこの本を読んでから、モノ・サービスを使う消費者として誰かがこれを作ってくれているから今私がそれを使えるのだ、早朝から電車を運転してくれている人がいるから毎朝ちゃんと出勤できるのだと、様々な仕事が見えるようになりました。

 そして、家族がどんな仕事をしているのかということもこれまでは興味を持って聞いたことがなかったので、家族がどんな仕事をし、どのように家庭を支えてきてくれたのかというのがわかるようになりました。

ここがすごい!ポイント
ストーリー構成の壮大さにも関わらず、身近な仕事について考えさせてくれる。



 

タイタンここがすごい!③ これはビジネス書。

 ここまでもこの小説の「仕事」に関する提示や読者に与えてくれる示唆を述べてきましたが、ビジネス書以上により実のある作品だったなあと読後満足感でいっぱいになりました。
 

 私は以前、話題に上り人気になって本屋さんの台に平積みされているビジネス書を手に取ってたくさん読んでいた時期がありましたが、いくら読んでもどうしてもそれらのビジネス書に惹かれなかったのです。なぜならすべてのビジネス書がそうというわけではありませんが、日本社会が一般的にすごいというような大企業に勤めていた人がよくわからない論理で「こうすれば仕事は100倍効率よくできる」とか、「上司の評価が上がる」とか自分の憶測と経験のみで語っているビジネス書が多いのです。たしかに社会的に貢献度が高く私自身も尊敬する会社なのですが、ある一定数のビジネス書の著者がその会社の地名度に乗っかりすぎてしまっている場合、中身が透けて見えてしまいます。読者は鵜呑みにするか、何も得られないかの2択に陥ります。



 その一方で、このタイタンという小説はこまごまとしたビジネスの論理やよくわからないビジネス必勝法を提示するものではなく、「今あるモノが古いモノ」だと常に当たり前の外に私たちの頭の中を連れて行ってくれ、私たちの常識を疑うチカラを試してきます。

 そうすると、この点が今の世の中不便で、改善すべきという「問題点」を認識することができ、どうすればそれが解決できるのかということがおのずと見えてきます。この小説はうまく私たちのアイデアを引き出してくれるので、自分で考えるチカラがついたなというのが私がこの本を読んだ後の成果でした。

ここがすごい!ポイント③
 自ら考えるように仕向けてくれるタイタン。この小説はビジネス書を超える力作。

まとめ

 ここまであらすじほとんど無しで小説『TITAN』について述べてきましたが、本当に久しぶりに読後満足感を感じることができました。

 気になる方はぜひ書店や以下のリンクからお買い求めください!




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